日本の精神科医療は世界の先進国に比べ以下のような特徴を有しています。
病床過多(欧米に比べ2~3倍)、超長期収容(欧米に比べ10倍)、少ない人員配置、救急医療の不備、社会との連携に乏しく社会復帰施設・居住施設が少ない、など 精神科においては、救急とリハビリテーションはコインの裏表の関係にあります。
(退院して病状が悪化した際に即受診できる態勢になければ、それだけ家族や地域住民に余計な負担をかけ、たとえ良くなったとしても受け入れが困難になることは自明のことでしょう。)
課題はいくつもありますが、これらの状況に対して私は精神科病院の当面の課題は”平均在院日数の短縮化”であると思っています。
いうまでもなく病院は患者を治療する場であり、そのためには当然、治療目標=患者を早い段階で社会に帰し…が存在します。
それがないと、治療レベル・患者の社会的能力は確実に低下するからです。
医療費の適正化にもつながるでしょう。
しかし現段階では、精神科病院そのものが社会的に認知されているとはいえません。
そのため、当院では市民に当院のことをもっと知ってもらうために様々な文化活動(コンサート、講演会、ラジオ放送等)を行い、交流できる機会を増やしています。
精神科医療において薬物療法は主体のひとつでありますが、当然のことながらそれだけでは限界があります。
そのため、当院ではリハビリテーション(作業療法)でもレベルの高い多くの種目を用意し、利用者が参加しやすいアメニティを整えるように心がけています。
物質文明が行き詰まり、「こころの時代」ともいえる現代において、当院ではまず 「風通しの良い開かれた精神科病院」作りを心掛け、利用者の心の健康の増進のために様々なアプローチを工夫していきます。
理事長 髙坂 要一郎